こんにちは。
先月お知らせした、月刊『YES?』の連載。今回お話するのは、真印自身がどうしようもなくなった時に訪れる『竜王神社』です。
抜粋した原稿ですが、25日には発刊されますので楽しみにしていてください。
前略
そんな真印先生が、「どうしようもなくなった時に来るのよ」と案内して下さったのが、カフェのすぐ近くにある『竜王神社』。
高原特有のやや殺風景な景色の中、こんもりと緑の茂るそこは、赤い鳥居と背景に溜池を持つ何の変哲もない神社。
社右手の由来によれば、昭和に入って建立されたという比較的新しい神社だということがわかる。
社に足を向けた真印先生は、お賽銭を手にお祈りを捧げると、軽く会釈を残して溜池の方へと向かった。
土色に濁ったそこは、これまた何の変哲もない溜め池。誤解を恐れず言うなら、何も感じることのできない編集者にとっては薄汚れた池にしか見えない。しかし、先生は…。
「この池が大切なの。ここは竜神が水を飲みに来るの。そして、私にとって特別な場所はここ…」
と、真印先生がいとおしむように手をかざすそこは、ため池の畔にそびえる3本の杉の巨木。根元の辺りに小さな祠が安置されている。
先生は、その祠に社の倍ほどもの長い祈りを捧げた後、おもむろに真ん中の、大人が三人で抱えるほどの太い幹に手の平を当て、瞼を閉じてじっと精神を集中させている。
およそ5分ほどもそうしていただろうか、瞳を開いた先生が口にしたのは…
「どうしても自分では抜けなくなった時、真夜中でも車を飛ばしてここに来るの。ここに来て、この木に触れるとスーッと抜けていくのよ」
と、さっきにも増して晴れやかな表情で自身の秘密を明かしてくださった。
後略
では、月刊『YES?』でお会いしましょう。